Cat's Brand ~ライブorアルコール~

ライブと酒とその他日常ネタです。

「終わりのクロニクル」全巻読了


 「正しく間違っていく」

 一見矛盾に見える表現が、これほど心地よく響いてくるのは何故だろう? もちろん私が超絶天邪鬼であり、言葉遊びが大好きなのも影響してるでしょう。けれど、その範囲を許容しない、人間の真理に近い表現だと・・・この言葉は、思います。それは成長の証。人間が人間らしく生きているその証。「個」と「社会」の天秤から漏れた、儚くも確かに存在する価値観。得られるものなどわずかでしかなく、得られないものに思いを馳せるその事実こそ、生きているという実感なのかも知れません。そんな哲学的なことを思い起こさせる作品でした。

 最近は涙腺が緩くて大変なのですが…例に漏れず、最後の鐘が鳴るところで決壊。その前からボロボロだったのに…。結局、私は『意思を込めた言葉』に非常に弱いんですね。心情を軽やかに表現する小説は好みではなく、むしろ体育会系の作品が好き。技法なんてまだるっこしいものはいらない。文学なんてクソ喰らえ。いかに伝えるか、伝わるか、それが全てだと思うのです。そういう意味で、私はこの作品を愛してます。

 つーわけで、レビューとか、感想とか、そういう形ではない想いを文章にしてみました。万人受けしない作品だと思いますが、歯ごたえを求める方には適してるのではないかと。気になってみたら、ぜひ読んでみてください。