Cat's Brand ~ライブorアルコール~

ライブと酒とその他日常ネタです。

マリア様がみてる「大きな扉 小さな鍵」読了したので簡単な感想を(ややネタバレ気味注意)


 確かな、未来への予感。


 全般を通して、状況説明と伏線の回収に多くを費やした感はあります。外堀を丁寧に埋めていくってのはマリみての良いところだと俺は思うのですが、そのストーリー構成が今回ばかりは猛スピードで・・・いやスピードというよりも密度か。とにかく濃密な時間だったと思うのですよ。あとがきにもありました、祐巳視点での物語が無かったのも、外堀を完全に埋め切るための手段だったのでは。そしていままで押さえに押さえてきた各人物の感情の発露と共に、核心に切り込んだ今作でした。

 内容的には、もういてもたってもいられないって感じで出てきた柏木さんが象徴的な存在。今回は特に、人物が作者の手を離れ、自分自身の意思で動き始めたような感想を抱きました。ってこれもあとがきどおりですね。何より、良い意味で・・・瞳子が主演女優として演じる物語、といった感が強く出ていて、自分の中では大盛り上がりでしたよ。それに併せて祐巳の立ち回りも非常に素敵。真・紅薔薇さまとして覚醒した祐巳に恐れるモノはない!何この完璧超人!?(笑) 中盤での

 「好きだよ。大好き」

に込められたあまりにも大きな愛情に、祐巳の中にマリア様を見た。泣きそうになりましたよ、あのシーン。

 そして人間離れしていく祐巳(笑)と入れ替わるように、乃梨子ちゃんの主人公然とした見事なやりとりに・・・ああ、マリみては安泰だなぁと思ったのです。マリみて無印から、物語的には1年の月日が経ち、繰り返される薔薇さまとそのつぼみたちの出会いと別れ。その中にあって、現主人公の祐巳が卒業してしまったとしても・・・乃梨子が、瞳子が、可南子がいる安堵感。何と表現したらいいのだろう・・・流れる時間に対して、寂しさもあるけれど、それ以上に幸せな予感を持たせてくれるマリみては、改めて素晴らしい作品だなぁと感じました。今作は良い! 瞳子激萌え!(それ書くと台無し)