Cat's Brand ~ライブorアルコール~

ライブと酒とその他日常ネタです。

「秒速5センチメートル」を再び語る。

 いまだにあちこちからリンクで飛んでいただいているので、一年近く経っているこの作品について、今言えることを。

 (過去の感想やら何やらはこちらから)


 『この世は、これだけ偶然と運命と想いに溢れているのに、物語性とは乖離してるんだろう?』

 小説家とか映画監督とか、創作者という変換器を通してはじめて見えてくる「物語」。どの人生も波瀾万丈なのに、それを自身では物語とは思えない。語り手としての自分は「無い」。自伝は嘘臭く、泥臭い。「物語」とは「同じモノにはなれない」ことなのかなぁと思います。

 そういう意味では、この作品は「物語を物語る」ことによって逆に自身を浮き立たせる意図があったのかと。それは確かに成功し、間違いなく俺みたいな人間を破壊したわけですが(笑)。タカキの心情は二重のフィルターを経ることによって視聴者の人生に直撃し、アカリはますます縁遠く神々しく所帯じみていく。いまさらですがカナエの価値の重要性に気がついたよ(笑)。


 この作品を観て、鬱だと言ってる方は・・・腹に力を入れてもう一度観てみてください。ある意味これは自分の心の大人度との勝負かもしれん(笑)。まあ頑張れ。